人文科学研究所 附属現代中国研究センター 助教
人びとの自律と紐帯はいかにありえるかという問題関心から、台湾の農業の歴史について研究しています。これまで商業的農業の拡大、農業技術の利用・創作とシェアリング、農民運動、女性・子どもの採集活動などのテーマを取り上げてきました。文書史料の検討と台湾農村におけるフィールドワークを並行しておこなっています。
フィールドワークの過程で、日本統治期台湾を代表する農民運動(二林蔗農事件)の指導者の獄中日記を発掘しました。2016年に台北で同日記の研究グループを組織し、台湾の若手研究者や郷土史家らと共同で解読を進めています。グループの中間成果については、以下のリンクを参照ください(中文)。
https://storystudio.tw/article/erhlin-peasants-movements-01/
また農村部の高齢者のオーラル・ヒストリーを収集するために、土着言語の一つである台湾語を習得しました。これをきっかけとして、戦後初期に台湾から日本に亡命して台湾語研究に大きな足跡を残した王育徳(1924-1985)の思想史、彼に影響を与えた近代中国の文字改革運動にも関心を持つようになりました。