地球環境学堂 資源循環学廊 准教授
幼少時より昆虫をはじめとする生き物と、それらが生息する自然環境に慣れ親しんできました。研究者として進路を考えたとき、生き物の研究をするのか、生き物をとりまく環境を研究するのか悩んだ末後者を選択しました。「人が使うことで維持されてきた環境」を現代の枠組みの中でどう維持していくかが研究活動の根幹の視点となっています。これを実現するために手法を限定せずに取り組んでいます。環境研究は「総合格闘技」とも言われますが、まさに狭い学問領域にとらわれない広い視野をもった研究活動を行っていきたいと思います。
2015年3月に大学院での研究成果をまとめた書籍を発行いたしました。ラオスという地域を題材に、地域研究を志す大学院生を読者に想定した指南書となっています。
2015年6月より、慣れ親しんだ京都大学を出て、総合地球環境学研究所に在籍し,琵琶湖・ラグナ湖(フィリピン)とその集水域を対象としたプロジェクトに従事しました。「総合」とは「広く浅く」ではなく「多方面から深く切り込む」ことだということを、所内外・プロジェクト内外の研究者との交流を通じて学ばせていただきました。
このプロジェクトの中で,里地里山の環境を生活者の視点で「測り」「考え」「改善する」ための「地域の環境ものさし」に関する研究を行いました。題材として対象地域の環境や農業の特徴、お年寄りの声をもとに、ニホンアカガエルの卵塊を選びだし、卵塊の調査方法の検討、卵塊地図の作成とGISを用いた産卵の要因分析を行いました。研究成果はその都度対象地域の農家さんへ還元され、農地管理の方法へのフィードバックが行われました。その結果,翌年以降の環境保全活動の拡大がみられました。これらの成果は『地域の<環境ものさし>』(昭和堂)のなかに詳しく記述しています。