農学研究科 応用生物科学専攻植物保護科学講座 准教授
植物は一般的に個の存在として見られていますが、実際は、様々な微生物と密接に関わりあいながら生きていることが明らかにされてきています。植物と関わりあう微生物の中でも、細菌は非常に多様性に富んでおり、植物に病気を引き起こすものや共生関係を築くものが存在します。私の研究は、植物と細菌のこのような関係性がどんなロジックで成り立っているのか、また、どのように進化してきたのかに焦点を当てています。特に、環境適応が進化の原動力であることを念頭に、植物と細菌の相互作用が環境変化に応じてどう変化するのか、その仕組みはどうなっているのかに興味を持って研究を進めています。
例えば、植物の細菌病は高温や高湿度環境下で頻発することが知られていますが、その仕組みはよくわかっていません。高温や高湿度環境下において、植物の免疫応答や細菌の病原力がどう変化するのかを究明し、そこに人為的に介入する方法を創出することで、気候変動に対応した植物病害防除法を開発するための一助となることを目指しています。
他方、健全な植物にも“無数”の細菌が棲息しています。これらの一部については、成長促進やストレス耐性の向上などの共生効果を有する共生細菌であることが明らかになってきていますが、大部分については詳細な解析がなされていないのが現状です。私は、いまだその多くが謎に包まれている植物と共生細菌の関係性を遺伝子レベル・分子レベルで解明することに挑戦しています。将来的には、植物と共生細菌の“自然な”関係性を利用することで、環境保護や持続可能な農業に貢献することを目指しています。
これらの研究は、分子遺伝学や生化学などのウェットな手法とゲノミクスやネットワーク解析などのドライな手法を融合させたアプローチで進めています。研究に関するキーワードは、植物-細菌相互作用、植物免疫、気孔、植物ホルモン、病原細菌、共生細菌、環境応答、遺伝子発現制御、ゲノム解析、RNAシーケンシングなどです。興味を持っていただけた場合は、是非ご連絡ください!
https://www.plant-pathology.kais.kyoto-u.ac.jp/
https://www.kakusei-plant.com/