Graduate School of Letters, Division of History Professor
日本近現代史、とくに明治以降の日本における教育/宗教/社会に関する歴史を諸々研究している。表看板としては、明治初期を起点とする教育と宗教の関係史が研究テーマ、と言える。また並行して、明治期の政治家、地域の名望家、演説家らの人物史や史料翻刻にも取り組んできた。これらを通じて、近代日本における世俗性と宗教性の関係や国民教化の実態を解明し、その中に生きた人々の歴史を多角的に提示することを目指している。近年では、中等学校野球、明治維新期の養豚や文明開化論、1930年代の日曜学校などへも、研究関心を広げている。
所属する大学院における教育は、明治初期から第二次大戦後の日本社会(植民地等も含む)の研究を、歴史学の方法に即して進めようとする人たちを対象に行っている。各自の研究テーマは、教育や宗教に限らずじつに多様・自由であって(ナショナリズム、浄土真宗と政治、皇室財産、経済外交、植民地朝鮮の産婆と胎教、など)、私の狭い学識では手に負えない。コースワークの主軸となる演習授業では、漫然と個別の研究発表を順繰りに行うのではなく、あくまで一次史料を皆でともに綿密かつ旺盛に読むこと、それをめぐる議論を通じて、歴史学者としての基盤を互いに養いあうことを主眼としている。各自の掌中にある問いを練り上げ、学術的に共有・公開するための、ささやかな手助けができればと願っている。